『最近徐々に生え際が後退してきた・・』『あれ?おれの頭頂部ってこんな地肌見えてたっけ・・』など、成人男性であれば誰もがどこかで体感するこうした自覚症状。
残念ながらこのように、ふと気がづいたら髪の毛が薄くなっている現象は勘違いではない場合が多く、そのほとんどがAGAの症状です。
旧約聖書にも「髪のパワーについての記述があります。紀元前11世紀頃の物語で、サムソンという怪力男にほとほと手を焼いていたペリシテ人は町娘デリラにサムソンの髪の毛を剃らせました。
髪の毛を失ったことでサムソンの”怪力”は無力化されたのです。
(「サムソンとデリラ」作:イタリア画家カラバッジョ)
AGAは完治しない
そんなAGAですが治療で薄毛は完治するのか?
結論からいくとAGA治療で完治はありえません。
(ただし、フサフサの状態を維持し続けることは可能です。)
病気やケガなどが完全になおること
AGAはもはや薄毛になりやすいという体質そのものです。アレルギーと同じで向き合いながらコントロールしていくことが大切になります。
もし、完全にどうにかしたいという場合、唯一完治を果たせる治療方法は自毛植毛のみです。
何がどうしてこのような結論であるのか、ここから徹底解説していきます。
AGAの原因
AGAとは男性型脱毛症とも言い、成人男性に見られる薄毛のことです。日経ビジネスオンラインでは、日本人男性の4人に1人がこのAGAであると紹介されたこともありました。
AGAの原因は男性ホルモンとヘアサイクル
AGAによる薄毛進行は男性ホルモンによるヘアサイクルの変化が大きく関与しています。
テストステロン(男性ホルモンの一種)が、5αリダクターゼ(毛乳頭に存在する還元酵素)と結びつくことにより、ジヒドロテストステロン(DHT)という強力な男性ホルモンに変化するのです。
そしてこのジヒドロテストステロン(DHT)が、今度は男性ホルモン受容体と結合し、脱毛を促す脱毛因子であるTGF-β(トランスフォーミング増殖因子-β)を生成します。
結果として、この脱毛因子TGF-βが正常なヘアサイクルを乱すことで、まだまだ成長過程の細く短い髪の毛が抜け落ち徐々に薄毛を進行させるのです。
AGAの体質は遺伝する
ジヒドロテストステロン(DHT)と男性ホルモン受容体との結合のしやすさにより、AGAが進行しやすいかどうかが決まってきます。
そしてこの結合のしやすさは遺伝によってある程度決まってしまうことがわかっているのです。
AGAも他の体質同様、親から子へ遺伝する性質のひとつ。ですので、『薄毛は遺伝す』るという都市伝説めいたものには、実は科学的根拠があるということがわかります。
AGAの特徴
AGAには一定の特徴的なパターンがあります。
どのようなものをAGAと呼ぶのか確認していきましょう。
AGAは治療しないと徐々に進行・・自然治癒はありえない
AGAの特徴的なパターンは本人も気づかぬうちに徐々に薄毛が進行していくことです。
前述の通りAGAの体質は遺伝します。
すなわち外傷的なケガのように放っておけば自然治癒するものではないのです。
AGA体質を根本から治す特効薬は存在しないので、継続的なAGA治療が望まれます。
AGAによる薄毛進行パターン
AGAによる薄毛進行には大きく分けて3通りのパターンがあります。
パターン | 内容 |
O型 | 頭頂部から薄毛が進行 |
M型 | 生え際から薄毛が進行 |
OM混合型 | 頭頂部、生え際の両方から薄毛が進行 |
特に生え際は進行が進めば進むほど回復が難しくなるからね。AGA治療に迷ってる時間があるのなら早めに治療を始めよう!
AGA進行の早期発見は至難のわざ
AGAによる薄毛進行のスピードは人それぞれまちまちです。
ちなみに、ただのハゲ、されどハゲということで、進行パターンは本当にひとそれぞれです。
私の場合、右側の生え際から徐々に薄くなっていくというパターンでした・・。
【関連記事】AGAとは?これでバッチリ!原因や特徴をわかりやすく解説!>>
AGAか?AGA以外か?原因で変わる薄毛の改善方法
冒頭で、AGAは完治しないと述べましたが改善は確実に可能です。
しかしながら、原因がAGAからくる薄毛進行と、原因がAGA以外からくる薄毛進行とでは改善方法が全く異なるので注意が必要です。
原因がAGA以外からくる薄毛を改善する方法
AGAが原因での薄毛は、男性ホルモンの特殊な働きによって頭皮環境が悪化し進行してしまうものです。
しかし、たとえAGA体質でなくとも頭皮環境が乱れてしまえば同じように薄毛が進行してしまう可能性があります。
【AGA以外での薄毛進行の原因】
- 栄養不足
- 睡眠不足
- 運動不足
- 過度なストレス
- タバコやアルコールの過剰摂取
基本的に、上記のような不規則な生活や不摂生がたたることで身体は不健康になります。身体が不健康になれば、身体の一部である頭皮も不健康な状態が続き頭皮環境が悪くなるのです。
原因がAGA以外からくる薄毛の改善方法は以下の通りです。
【AGA以外での薄毛進行の改善方法】
- バランスの良い食事を心がける
- 早寝早起き
- 適度な運動
- ストレスをためない
- ひどい場合は禁酒禁煙
- シャンプーでゴシゴシ髪の毛を洗わない
AGAは生活習慣の見直しだけで進行を食い止められるか
それではもしAGAだった場合、上記のような生活習慣の改善で薄毛進行は食い止められるのでしょうか?
答えはNOです。
そもそもAGAは男性ホルモンの特殊な働きによるもの。
いくらバランスの良い食事を摂り、適度な運動をし、快適な睡眠をとったところで、男性ホルモンの特殊な働きをコントロールすることまではできません。
規則正しい生活をしているのに薄毛が気になりだしたらAGAだと思っても過言ではないね。そうした場合は早めに専門のクリニックにいこう!
AGA治療は改善するが完治はしない
繰り返しになりますが冒頭で述べた通り、AGAに完治はありえません。
しかし、AGA治療を継続することによって薄毛の回復、そしてある程度回復したら、その状態の維持が可能です。
逆の側面からいえば、治療をやめてしまえば、そこから再び薄毛進行が始まるのです。
日本皮膚学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017』
AGAの症状にはどんな治療が効果的なのか?
AGAに効果的な治療方法の指標として、公益社団法人日本皮膚科学会では、学的根拠に基づいた情報を発信し、標準的治療法の促進を目的とした「男性型脱毛症診療ガイドライン」を公表しています。
『推奨度』というのは、実証実験や科学的根拠をもとにAGA患者に対しその成分がどのくらいおすすめできるかを示した指標です。
以下の表のように、推奨度が”A”に近づくほど日本皮膚科学会がおすすめをしているということです。
推奨度 | 推奨度 分類 |
A | 行うよう強く勧める |
B | 行うよう勧める |
C1 | 行ってもよい |
C2 | 行わないほうがよい |
D | 行うべきではない |
【すべての治療内容の推奨度についてはコチラ】AGAとは?これでバッチリ!原因や特徴をわかりやすく解説!>>
それではここで、AGA治療に対しもっともおすすめされている『フィナステリド』『ミノキシジル』の治療方法について見ていきましょう。
AGA治療①プロペシアの服用
プロペシアとは日本の厚生労働省に認可されている、AGA進行を食い止める内服薬。主成分はフィナステリド。
フィナステリドの働きには、5αリダクターゼの働きを阻害し、薄毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)を作らせないようにする作用があります。
※生え際よりも頭頂部の薄毛に効果が出やすい
【関連記事】プロペシアとは?AGAを治す絶大な効果や恐ろしい副作用まで徹底解説!>>
AGA治療②ミノキシジルの塗布
ミノキシジルとは血行促進効果があり毛の成長を促す外用薬。
直接薄くなった頭皮にぬることで、塗った部位の血行が促進され毛髪が成長する仕組み。
※生え際よりも頭頂部の薄毛に効果が出やすい
【関連記事】ミノキシジルの由来とは?原理や効果から分かるミノキシジルの全てを解説!>>
AGA治療③ミノキシジルタブレットの服用
先ほどのミノキシジルの飲み薬版。
内服薬ということで、その効果は抜群ですが日本ではまだ認可されていない未認可薬。現状では一番発毛効果が高いと言われていますが、頭以外の全身の毛も剛毛になってしまうという難点(副作用)あり。
※生え際・頭頂部のどちらの薄毛にも効果が出やすい
AGA治療④プロペシアとミノキシジルタブレットの併用
AGAの薄毛進行がかなり進んだ場合、以下の治療方法がとられることが一般的です。
②髪の毛が生え揃ってきたところで、プロペシアの服用に切り替え現状維持をはかる
※現時点で、最強のAGA治療法といわれている
AGA治療⑤ザガーロの服用
近年、プロペシアの代わりにザガーロを服用する人が増えています。ザガーロの主成分はデュタステリド。
5αリダクターゼの働きを阻害し、ジヒドロテストステロン(DHT)を作らせないという効果はプロペシアと同じですが、プロペシアとは以下の違いがあります。
※生え際・頭頂部のどちらの薄毛にも効果が出やすい
- 5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型が存在
- プロペシアは5αリダクターゼⅡ型の働きのみを阻害
- ザガーロは5αリダクターゼⅠ型Ⅱ型の両方の働きを阻害
それと、AGA治療には自毛植毛という選択肢もあるんだ。自毛植毛は自分の後頭部の髪の毛を薄毛の部分に移植する治療方法のこと。もはや治療ではなくAGA手術ってところだね!
AGA治療の一般皮膚科と専門クリニックの違い|AGA治療はどこでできる?
AGA治療はどこへ行ったら受けられるでしょうか?たくさん種類がありますが、あなたに合った相談窓口へ行くことをおすすめします。
皮膚科(病院)
一般的な病院(皮膚科)でAGA治療を受け付けているところもあります。ただし、AGAに対しては治療実績が少ない場合が多いので基本的にはプロペシアを処方するだけの治療となることがほとんどです。
美容整形クリニック
主に女性が多く通う美容クリニックにおいても、AGA治療をおこなっているところがあります。他の患者さんは女性が多くを占めますので、女性の目が気になるようでしたら少し行くにくいかもしれません。
AGA専門クリニック
文字通りAGAを専門に取り扱っているクリニックです。一般的な皮膚科と違い専門で扱っているだけありAGAの治療実績の多さは群を抜いています。
専門の医師やカウンセラーにカウンセリングをしてもらうことはもちろん、その上で自分に合った治療方法を選択することが可能です。
また、他の患者さんと顔を合わせないようプライバシーを守る環境作りにも配慮しているので、AGA初心者にとっては一番行きやすいでしょう。
AGAが改善できる確率
実際にAGA治療をすれば確実に薄毛は改善できるのでしょうか?AGA専門クリニック大手の実績では、どこもおしなべて患者の99%以上が薄毛改善を実感しています。
(参考:AGAスキンクリニック)
AGAが治療で治らないケース
裏を返せば、残りのごく少数の患者には薄毛改善を実感できなかった人がいるということです。これは一体どのようなケースで起こりうるのでしょう。
- 治療開始から半年程度での測定:AGA治療の効果が現れるのは個人差があります。半年で効果を最大限に感じる人もいれば、1年経過でようやく効果を実感できる人もいます。
- かなりの薄毛にも関わらずプロペシア(フィナステリド)しか服用していない:AGAの進行がかなり進んでいる人はプロペシア+ミノキシジルタブレットが必須です。しかし自己判断でプロペシアしか服用していないといった場合、効果を実感するのは極めて厳しいと言えます。
- クリニック通いをやめて個人輸入代行業者の薬を使用:クリニックでの正規品の使用をやめ、個人輸入代行業者を通して海外からのコピー品を使用するケース。日本での認証がない海外のコピー品はその効果も未知数です。
- 加齢により毛母細胞の活力が低下している:髪の毛は毛母細胞が分裂を繰り返すことで成長していきます。あまりにも高齢の人の場合、毛母細胞の活力自体が低下しているので、発毛を実感することはなかなか難しいと言えます。
女性のAGA(FAGA)の改善方法
女性の薄毛(FAGA)は、男性の薄毛(AGA)とは薄毛になるメカニズムが全く異なります。
原因としては”女性ホルモンのバランスの乱れ”と言われており、出産後や更年期などの時期にホルモンのバランスが大きく崩れ薄毛になるのです。
男性のAGAと違い自然治癒の可能性もありますが気になるようでしたら、女性専用のヘアクリニックへ一度相談にいくことをおすすめします。
【関連記事】FAGAは治らない?原因や特徴・治療法をわかりやすく解説!>>
薄毛改善までの目安期間
髪の毛は平均で1ヶ月に1cm、半年間で6cm、1年間で12cm伸びるといわれています。
個人の毛周期にもよりますが、どんなに遅い人でも1年後にはAGA治療の効果を実感可能です。1年あればどんな人でも髪の毛が生え揃う期間が一定程度経過する、という理由があるからと言えます。
これは正常なヘアサイクル(毛周期)に戻るための通過儀礼のようなもの。たとえ初期脱毛で髪の毛が抜けてしまう期間があったとしても、さすがに1年もすれば髪の毛は生え揃う!
これAGAかな?と感じたらまずプロへ相談
薄毛になり始めると、毎日自分の薄毛状態を鏡でチェックし、薄毛が進行しているのかどうか不安状態が続きます。
これは精神衛生上も思わしくなく、QOL(人生の質)の低下にもつながります。
悩んで鏡を毎日チェックしていても薄毛は改善されません。残念ながらその行為自体は未来のあなたに何の役にも立たないのです。
少しでも『AGAかな?』と感じたら、まずは専門のクリニックなどプロの医師に相談へいくことを強くおすすめします。
これは、「考えても仕方のないことについて、あれこれ思い悩むのはやめなさい」という意味。
悩んでいる時間は何の解決にもならない、それであればその時間を薄毛が改善するための第一歩として使おう!