現代のAGA治療でもっとも効果的といわれている薬といえば、プロペシア(フィナステリド)。
2005年に発売されて以来、多くのAGA患者を救ってきました。そんなプロペシア(フィナステリド)ですが、発売当初から男性機能の低下や性欲減退といった副作用があるということも言われているのです。
中には、『AGA治療中には子作りをしては絶対ダメ!』といった言葉も聞こえてくる始末・・。
一体どの情報が真実でどの情報がニセモノなのか?
しっかりと根拠をもとに精査していくことが大切です。
結論からいくと、AGA治療中に子作りをしても問題ありません。
ここではAGA治療でもっともよく利用されているプロペシアやザガーロが、子作りにどう影響してくるかを解説していきます。
子作りの際はプロペシア(フィナステリド)の服用を中止するべきか?
まずはじめに注意点があります。
それは・・
プロペシア(フィナステリド)と女性の相性は抜群に悪いという事実です。
ですので、一般的に女性がプロペシアなどのフィナステリド成分を摂取することは禁忌とされています。
プロペシアが妊婦の胎児(男子)の生殖器に与える影響
AGA治療薬であるプロペシア(フィナステリド)は、薄毛進行に悪影響を与えるジヒドロテストステロン(DHT)を作らせないようにするための薬です。
反面、このジヒドロテストステロン(DHT)は男子胎児の生殖器の発達に深く関係していることがわかっています。
もし仮に妊娠中の女性の体内にプロペシア(フィナステリド)の成分が移行すると、女性の体内でジヒドロテストステロン(DHT)の働きは抑制されます。
その結果、お腹のなかの赤ちゃんに影響が生じるのです。
もし赤ちゃんが男子胎児だった場合に生殖器に奇形が起こる可能性がでてきます。
ただし、プロペシア(フィナステリド)の使用で奇形児が生まれたという事例はこれまでに1件もありません。
【関連記事】プロペシアとは?AGAを治す絶大な効果や恐ろしい副作用まで徹底解説!>>
プロペシア(フィナステリド)は女性(妊娠中・授乳中)に影響!触れるのもNG
とすると、AGA治療中でプロペシア(フィナステリド)を服用している男性は子作り禁止なのか?
まったく問題ありません。
そもそもプロペシア(フィナステリド)の成分が精液に混じる可能性はほぼゼロに近いからです。
しかし、以下の1点だけ注意が必要となります。
妊娠中や授乳中の女性が直にプロペシア(フィナステリド)を服用したり、薬に触ったりすることは確実に避けなければなりません。
プロペシア(フィナステリド)は皮膚から吸収されるという性質を持っています。言いかえると、触れるだけでも成分は吸収されてしまうのです。
プロペシアの錠剤の表面はコーティングされていますが、万が一のことを考えれば、最初から一切触れられないようにしておく方が無難です。
AGAに悩む男性のプロペシア(フィナステリド)を服用している世代は20代~30代が多くを占めています。
でも、働き盛り子作り盛りの彼らから『男性器奇形の男児が生まれた!』という報告は現状見たことがないよ!
正しい服薬管理をしていれば子作りリスクを最大限にまで減らせるんだ!
プロペシアによる胎児への影響
実際にプロペシア(フィナステリド)の成分が精液に混じる可能性は『ほぼゼロに近い』といっても数字的根拠はどれくらいなのかは気になるところです。
これについては、プロペシアの製造販売をしているMSD社が実証実験をしており、以下のような結果となっています。
【ヒトでの実証実験】
実験:プロペシアを1日1回1mgを6週間連続して服用
結果:精液に移行した成分量は、投与した量の0.00076%以下
さらにMSD社は、動物実験として人間によく似た生体構造をもつアカゲザルに対しても同じ実験をしています。
【アカゲザルでの実証実験】
実験:妊娠20日~100日までの時期に人間の体重にして1日6mg程度のフィナステリドを連続して投与
結果:オスの胎児への影響は見られず
【参考記事】プロペシア実証実験の資料はコチラ>>
このように、プロペシア(フィナステリド)が精液へ移行し、奇形男児が生まれるといった可能性は限りなくゼロに近い、いわば天文学的数字です。
ザガーロによる胎児への影響
ザガーロとは、ひと言でいうとプロペシアよりも強力なAGA治療薬です。
実は上記のアカゲザルに対する実験は、このザガーロでも実施されています。
【アカゲザルでの実証実験】
実験:「男性の精液を介して女性のからだに移行されると考えられる成分量」の186倍の量を、特に薬の影響を受けやすい妊娠初期のタイミングで投与
結果:オスの胎児への影響は見られず
【参考記事】ザガーロ実証実験の資料はコチラ>>
こちらの結果を見てもザガーロ服薬中に子作りをした場合、お腹の子どもへ影響を及ぼす可能性は限りなくゼロに近いことがわかります。
プロペシア(フィナステリド)は女性の薄毛治療としての効果はない
近年では、薄毛に悩む女性も増えてきており、その症状はFAGAと呼ばれています。しかしこのFAGAは男性のAGAとは全く異なるメカニズムから生じているのです。
男性の薄毛がDHT(悪玉ホルモン)によるものに対し、女性のFAGAはホルモンバランスの乱れなどが起因しています。
そうした根拠も含め、女性がプロペシア(フィナステリド)に触れてもプラスなことは一切ないのです。
そうした事実を考慮したうえで、家庭があるAGA治療中の男性は、まずは以下の対策をしておくことが望まれます。
【リスクゼロ対策】プロペシアは他の薬と分けて個人管理
一人暮らしの場合は家にあるすべてのモノが自分自身のモノですので気にしなくても大丈夫です。
一方で、家庭があり奥さんやお子さんと同居している場合、プロペシア(フィナステリド)は絶対に個人管理することをおすすめします。
共用の薬箱にしまっていたり、その辺に置きっぱなしにするなどは、自分以外の誰かがプロペシア(フィナステリド)に触れてしまうという大きなリスクを作り出してしまいます。
【リスクゼロ対策】薬は絶対に割らない
プロペシアの錠剤は表面がコーティングされています。
分割することでコーティングがはがれ、中の成分が空気中に飛散し、家族がその飛散した成分に知らないうちに触れてしまうというリスクが発生します。
稀に、1つの錠剤を分割して服用するという方を見かけますが、それであれば服用を2日に1錠にするなど、他の方法を選択することが望まれます。
【リスクゼロ対策】プロペシアが与える女性への影響や危険性を伝えておく
そうはいっても、いつなんどき家族がプロペシア(フィナステリド)にふれる機会が訪れるかわかりません。
そうした時のために、プロペシア(フィナステリド)が与える女性や子どもへの影響や危険性をあらかじめ伝えておく必要があります。
こうすることで家族(特に奥さん・子ども)が薬に触れるリスクを限りなく減少させることが可能です。
AGA治療中(プロペシア服用中)は献血禁止
プロペシア(フィナステリド)を服用中の献血は絶対に禁止です。
イメージしていただければわかりやすいですが、献血はあなたが提供してくれた血液が、困っている誰かのためになります。
ですが反面、もしプロペシア(フィナステリド)の成分が入った血液が、どこかの女性の体内に入ったとしたら、その女性から生まれてくる男児がリスクに見舞われます。
こうしたことを踏まえ、最後にプロペシアを服用してから1か月間は献血行為が禁止されているのです。
何年もプロペシア(フィナステリド)を継続して服用していると、自分がAGA治療中だってことをつい忘れがちだから気をつけよう!
AGA治療薬の副作用による性欲減退や勃起不全(インポ)について
プロペシアなどに配合されている成分フィナステリド。この成分が引き起こすとされる副作用には以下のようなものも噂されています。
- 性欲減退
- 勃起不全
- ポストフィナステリド症候群(PFS)
ひとつひとつ見ていきましょう。
臨床試験では男性機能に関する副作用は全て自覚症状という結果
AGA治療でもっとも多くの人が使用しているプロペシア。
プロペシアに配合されているフィナステリドという成分により薄毛の進行は食い止められます。しかしながら過去におこなわれた臨床試験では、性欲減退・勃起機能不全(インポ)という副作用が確認されました。
副作用として『性欲減退が1.1%』『勃起機能不全(インポ)が0.7%』という割合
一方で、ブラセボ群(プロペシアと思い込まされて何の効力もない偽薬を飲んだ被験者)もこの数字に迫る割合で性機能に関しての副作用を訴えていました。
この事実から言えることとして、こうした副作用は「プロペシアを飲むと性欲が減退する」といった思い込みの力により発生したとの見方が強いことです。
そもそもプロペシアに男性ホルモンを減らす作用は存在しない
AGAによる薄毛は、テストステロン(男性ホルモンの一種)と、5αリダクターゼ(酵素)が結びつくことで生成されるジヒドロテストステロン(DHT)という悪玉ホルモンの存在によって進行します。
プロペシア(フィナステリド)は、テストステロン(男性ホルモンの一種)が、5αリダクターゼ(酵素)と結びつくことを阻止することで、薄毛進行の元凶であるジヒドロテストステロン(DHT)を作らせないようにするための治療薬です。
ということで、そもそもフィナステリドという成分は男性ホルモンそのものを減少させてしまうような作用を持ち合わせていません。
副作用の訴えは男性機能低下や性欲減退などの「性」に関するものが大半でしたが、いづれも「自覚症状」で日常生活に大きな障害をきたすものではありませんでした。
そもそもフィナステリドには性欲に関与するテストステロンを減らす作用はないので、理論的にも男性機能に支障をきたすことはないと言えるでしょう。
男性機能に関する副作用は年齢やメンタル面によるプラシーボの影響が強い
検証実験では薬理学的に効果のない薬を鎮痛薬として与えると、30%の人に鎮痛効果が認められたと報告されたんだ。
【参考記事】プラシーボ効果についてコチラ(全日本民医連 公式HP)>>
男性は一般的に年齢を重ねると男性機能が衰えていきます。したがって、プロペシア(フィナステリド)の副作用ではなく加齢が原因で性欲減退を感じはじめる可能性は大です。
また、「プロペシア(フィナステリド)を飲んでいるから性欲が減ってきてるんだな・・」という思い込みにより、あるはずのない副作用を引き起こしてしまうという可能性も大きいと見られています。
これらの可能性によって性欲減退が引き起こされていることが、おおいに予想されます。
ポストフィナステリド症候群(PFS)について
また、ポストフィナステリド症候群(PFS)という副作用も存在します。
これは前述した副作用が、服用を中止したあとも継続的に現れるという症状です。
プロペシア(フィナステリド)との完全な因果関係はまだ解明されていませんので、現段階ではプラシーボ効果の延長線上のものだとの見方が強くあります。
これは月日が経つことで、勃起不全やポストフィナステリド症候群などプロペシア(フィナステリド)の副作用が根拠のない噂でしかなかったと思う人が増えていったからだと推測される。
何でもそうだけど、新しいものが世に出るとそれについての怖い噂が出回るよね。でも年月が経つ中で噂通りになった人があまりにも少なければ、人はそんなことなかったかのように思い始めるよ・・
基本にのっとり決められた用法・用量に従って服用する
男性機能への副作用は、プラシーボ効果であることがほとんどということがわかりましたが、これはしっかりと決められた用法・用量を守って服用した前提での話です。
どんな薬にも言えますが、用法・用量以上の服用をした場合には、想定外の副作用がでてしまう場合があります。
まずはしっかりと医師の指示に従った服用がなによりも大切です。
子作りの際はミノキシジルの使用を中止するべきか?
ここまで『プロペシア(フィナステリド)と子作りの関係性』を見てきましたが、ここからは『ミノキシジルと子作りの関係性』についても少しだけ触れておきましょう。
ミノキシジルもプロペシアに並ぶAGA治療界の超有名な薬。プロペシアと違い女性にも発毛効果が認められており、女性向けの製品も世に出回っています。
もともと、ミノキシジルという薬が生まれた発端は高血圧の治療薬でした。
この薬の作用に血管拡張作用があり、副作用として多毛(発毛効果)が確認されたため、改良されAGA治療薬として世にでてきたのがミノキシジルです。
そんなミノキシジルには、外側から塗るタイプの『ミノキシジル外用薬』と、飲むタイプの『ミノキシジル内服薬』があります。
この『ミノキシジル外用薬』、子作りにおいてはどのような影響を及ぼすのでしょうか。
ミノキシジル外用薬使用中の子作りへの影響
子作りへの影響の前に、大前提としてミノキシジル外用薬の副作用には、以下のものがあります。
- かゆみ
- 皮膚の炎症
- フケ
- 毛包炎
- 接触皮膚炎
- 顔の多毛
日本皮膚科学会が発表しているガイドラインでは、ミノキシジル外用薬に関して上記のような副作用が明示されています。
基本的にプロペシア(フィナステリド)とは違い、皮膚系の疾患(しっかん)として副作用が現れるということです。
男性機能や生殖器異常についての副作用は認められていません。
【参考記事】ミノキシジル外用薬の参考資料はコチラ>>
それではここから、ミノキシジル外用薬が子作りに及ぼす影響をみていきます。
- 勃起障害(インポ)など性障害・・これまで全く報告があがってきていないので安心
- 精子への影響・・精子を作る機能に関しての悪影響も、全く報告があがってきていないので安心
- 胎児への影響・・こちらも全く報告があがってきていないので安心
これは成分の違いもあるけれど、内服薬か外用薬かの違いが大きいよ。
どんな薬も外に塗るより服用するもののほうが効果も副作用も大きくなっていくんだ。
女性(妊娠中・授乳中)のミノキシジル外用薬の使用と子作りへの影響
子作り中の女性がミノキシジル外用薬を使用した場合の影響はどうでしょう。
結論からいくと女性の薄毛(FAGA)にもミノキシジル外用薬が広く使われています。ミノキシジル外用薬はプロペシア(フィナステリド)と違い、女性でも安心して使用でき効果もでているのです。
ただし、ミノキシジル外用薬の『使用上の注意』には『妊娠中の使用について、その安全性が充分に確認されていない』と書いてあるよ。
含みのある言い回しだけど、リスクやプラシーボ効果を最小限に抑えるなら、子作り中の女性は使用を控えるという選択肢もあるね。
未認可の薬ミノキシジルタブレット服用と子作りへの影響
一方で、飲むタイプの『ミノキシジル内服薬』と子作りについてです。
一般的にこのミノキシジル内服薬は、ミノキシジルタブレットと呼ばれています(通称:ミノタブ)。
先ほどのミノキシジル外用薬は、こちらの内服薬をより安全に利用できるように、あとになって開発されたものです。大事な点はこのミノキシジルタブレット、日本では未認可の薬だということです。
ミノキシジルタブレットはミノキシジル外用薬と比べ効果は高いですが作用は同じでなので、こちらも子作り中でも悪影響がでず安心して使用できます。
ときどき『ミノキシジルで奇形児が生まれる』というウワサを耳にしますが、これはプロペシア(フィナステリド)で出てきた副作用のウワサと混同しているためです。
ミノキシジルと不妊治療薬との併用は注意が必要
ミノキシジルタブレットのもつ血管拡張作用は全身に行きわたります。
そのため女性の卵巣など体内の様々な臓器の血流にも作用するのです。
科学的根拠はありませんが、不妊治療をしている女性がミノキシジルタブレットを中止したら妊娠したという報告もあります。
女性のミノキシジルタブレット服用は推奨されていない
基本的に、皮膚科やクリニックでは女性へのミノキシジルタブレットの処方をしていません。
これは女性の薄毛(FAGA)がミノキシジルタブレットに頼らなくとも治療が可能ということもありますが、やはり強力な薬なので、か弱い女性には推奨されていないというのが実情です。
それでも心配な場合は
ここまでご覧いただいたとおり、プロペシア(フィナステリド)・ミノキシジル、ともに子作りへの影響はとても低いものでした。
しかし全くのゼロではないということで誰でも心配になります。
プロペシア(フィナステリド)は服用を中止してから1ヶ月ほどで、その成分が体内から完全になくなるとされているので、心配な方は子作りに入る1ヶ月前から服用を中止することも選択肢のひとつです。
また、一度、専門のクリニックへ行って先生のお墨付きを直に聞き、前向きな心を持ったうえで、AGA治療をしながら子作りに励むという方法も選択肢のひとつです。