世の中には因果関係という言葉があります。
トンネルと幽霊。座敷わらしとお寺。芸能人と薬。古代と宇宙戦争。酸性雨とハゲ。
これら対になっている言葉に共通するのが『アンカリング効果』という心理効果です。

アンカリング効果とは・・
最初もしくは同時に提示された特定の特徴や数値(価格)、情報が印象に強く残ってしまい、意思決定や判断に影響をおよぼす傾向のこと
トンネルには幽霊が出る!酸性雨にあたるとハゲる!こうした前情報が強く残っていると、何でもないトンネルや優しい雨をも避けたくなりますよね。
でもこれら、因果関係はないんです。
薄毛と生活習慣にもこうした心理的効果によって因果関係があるかのように思われていますが、実際のところはどうなのでしょうか・・。
薄毛と生活習慣が関係ないって本当?
薄毛と生活習慣の関係性について、いつの時代も『関係ある派』と『関係ない派』に分かれます。こんなに医学が進歩しているにも関わらず、両者の主張は食い違う一方です。
・『AGAが原因の薄毛に生活習慣は関係ない』
・『AGAが原因ではない薄毛には生活習慣が関係する場合がある』
このような2つの解答なります。
ここからは両者の結果について、その根拠を見ていきます。
生活習慣で薄毛になるというデータ(根拠)がない

現代社会は医学を始め、ほとんどの事柄の根拠は統計データの結果から算出します。
治験を想像していただくと分かりやすいですが、新たな治療薬をつくる際、その薬を試した人たちにどんな効果が出てどんな副作用が現れたかなどをデータとして集めます。
集約した膨大な実績データの根拠を元に新たな治療薬は世に放たれるのです。

でも一方で『薄毛』と『生活習慣』の関係については、根拠となる集約されたデータ結果が存在しません。
あくまでも、ウワサに尾ひれはひれが付き、根拠のない情報だけが世の中に漂っているだけなのです!
専門家の見解
2015年11月13日にNHKラジオで放送された『抜け毛を科学する』という番組で、大阪大学皮膚・毛髪再生医学寄付講座教授の板見智さんが薄毛について解説しています。
以下、板見教授がリスナーの質問に対して答えた内容です。
Q毛穴に詰まった汚れを取るとハゲない?
A本来皮膚の汚れ程度で毛の成長は止まらないから、毛穴をきれいにしてもハゲるときはハゲる。Q生活習慣を改善したらハゲない?
A統計上30年前の生活習慣や食事と今と比較してもハゲの数に変化は無いので、ハゲるときはハゲる。Q海藻を食べると毛が生える?
A単なる色の連想ゲーム。海藻だけでは毛は生えない。Q頭皮が硬かったり薄いとハゲるのでマッサージすると良い?
A50年前の迷信。男性型脱毛症では頭皮が柔らかく血流がよくてもハゲるときはハゲる。Q炭酸で頭を洗うと毛が生える?
A生えない。気持ちがいいだけ。Qノンシリコンシャンプーは頭皮に優しい?
A科学的に否定されているのでどちらでもよい。Q頭が蒸れるとハゲる?
A関係ない。ハゲる人はハゲる。Q体毛が薄いとハゲない?
A関係ない。ハゲる人はハゲる。Q白髪の人はハゲない?
A関係ない。ハゲる人はハゲる。結論:「ハゲるときはハゲるし、ハゲる人はハゲる」
ここで注意が必要なのは、板見教授が述べている『ハゲ』というのはAGA(男性型脱毛症)によって薄毛になった人のことを指している点です。
要するに、AGA(男性型脱毛症)の場合、自力で何をしようと薄毛になってしまうということになります。


生活習慣と薄毛の関係の裏に大人の世界

資本主義社会である以上、企業はこぞってお金儲けのために日々努力をしています。
これは悪いことではなく、むしろこうした企業側の努力によって、消費者の購買意欲が促進され、世の中のお金の回りがよくなり、経済が活性化するのです。
しかし、消費者の購買意欲をかき立てるために、あまりにもキャッチーで、それっぽい効果をうたうだけの商品が世に溢れているのも事実。
『薄毛⇒生活習慣病⇒商品で治す!』こうした流れで一般商品は売り出されていることが多いため、薄毛改善の新商品があとを立ちません。


生活習慣と薄毛は一切関係ないのか

冒頭でも述べた通り、AGAが原因の薄毛は生活習慣の改善ではどうにもなりません。しかし、AGA以外が原因となっている薄毛であれば、生活習慣を改善することで解消できる可能性があります。
AGAによる薄毛の原因
AGAによる薄毛は、体内にある5αリダクターゼという酵素が、テストステロンという男性ホルモンを、ジヒドロテストステロンという薄毛の原因となる男性ホルモンに変化させてしまうことで起こる現象です。
すなわち、体内の5αリダクターゼという酵素の働きが強ければ強い体質なほど薄毛の原因となるジヒドロテストステロンが生成されてしまい、若いうちからどんどん薄毛になってしまいます。

こうした理由から『親がハゲだと息子もハゲる』と言われるようになったんだね。
【関連記事】5αリダクターゼとは?AGAの原因となる髪の毛を減らすメカニズムを解説!>>
AGA以外による薄毛の原因
AGA以外が原因になっている薄毛は、個人個人でその理由が異なります。言いかえればAGAのように薄毛になる原因がひとつに絞られておらず原因がわかりづらいのです。
したがって、AGA以外で薄毛になっている場合は、まずその理由を突き止める必要があります。
薄毛を進行させる生活習慣

ここで登場するのが生活習慣です。
AGAによる薄毛は5αリダクターゼ酵素の働きの強さによるものだとわかりました。そしてそれは遺伝します。
そうなると、AGAが原因ではない(AGA体質ではない)人が薄毛になってしまう理由は、遺伝や体質とは関係ないということです。
結論的には、その人の今現在のカラダづくりの過程におけるなんらかの要因が薄毛を誘発していることがわかります。
したがって、生活の中にその要因が必ずあるはずです。すなわち生活習慣におけるナニかが原因で薄毛になっていると考えられます。
生活習慣と言っても漠然としているので、その原因がつかめなさそうですが、落ち着い考えるといくつかのフェーズにしか分かれていません。
以下、生活習慣のフェーズです。
- 睡眠(不十分な睡眠時間)
- 飲酒(アルコールの過剰摂取)
- 喫煙(過度な喫煙)
- 運動不足
- 食生活(偏った栄養の摂取)
生活習慣という言葉を細分化すると、上記のようなフェーズに分かれます。
話を元に戻すと、このどれか、もしくは、いくつかの良くない習慣が薄毛を誘発していると考えられるのです。

薄毛予防対策で、習慣を改善すれば、男性も女性も薄毛が治る(回復する)可能性は十分に考えられる。

逆の視点に立てば、若ハゲでAGA治療薬を飲んでいるにも関わらず全然薄毛が治らない!という場合は生活習慣を改善することで、一筋の光が見える可能性が高いです。
運動する習慣と薄毛
適度な運動は薄毛に限らず、体全体にとって良いことです。AGA以外の薄毛を改善するためには、1日10分でも運動を取り入れることで、体内の血流がよくなり髪の毛にも栄養が届きやすくなると考えられます。
ただし、過度に運動をしすぎてしまうと、今度は身体への負担が大きくなり、さらには男性ホルモンがたくさん分泌されるのでハゲる可能性も。
何ごともバランスが大切です。


有酸素運動がAGAに効き発毛効果も!との声もありますが、確証となるデータはありません。

AGA以外の薄毛の場合は、生活習慣における”何が”ハゲの根本原因になっているかわかりづらいところがあるね。
なので色んな手法を試してみることが大切だよ。

同じく2chの薄毛板でもよく出てきますが、『普通のジョギングでDHT(ジヒドロテストステロン)が減った!』なんてこともありえません。
大学の研究室で調べたならまだしも、個人の感覚だけで体内の成分が増えたり減ったりすることは知りえません。

ジョギングやランニングで『髪が太くなった!』『発毛・育毛効果があった!』『薄毛予防になって髪が生える!』『M字ハゲやつむじハゲが治った!』とかの声は、別にジョギングやランニングをしたからどうのって話じゃないよ!

筋トレ習慣と薄毛
こちらもよく目にする筋トレ万能説。AGAによる薄毛の場合は、筋トレすることでジヒドロテストステロンの分泌を促してしまいますので、ほどほどにすることをおすすめします。

薄毛予防から始まり、『髪が太く生えたし増えた!』『髪が復活して生える!生える!』『筋トレすればハゲない!』『筋トレで抜け毛が減ったしM字が埋まった!』などなど・・。
筋トレだけで薄毛が治った人は、大前提に元々AGAじゃない薄毛で、なおかつ、よほど運動してこなかった人な気がするよ。
都市伝説的な薄毛の小話

生活習慣と薄毛の関係について解説してきましたが、ここでは少し趣向を変えて、『あるある薄毛解消法』について読み解いていきます。
ツボと薄毛
昔から言われているツボの効能。発毛促進のツボや抜け毛抑制のツボなど、ツボには数多くの薄毛対策ポイントがあるとうたわれています。
結論からいくと・・
ツボを押したところで、AGAによる薄毛も、AGA以外による薄毛も、どちらに対しても改善が見込めるわけではありません。


抜け毛に効く対策や、髪の毛が生えてくる育毛発毛のツボは調べればザクザク出てきます。
『手のツボ』『足のツボ』『耳つぼ』『おでこの生えぎわのツボ』『頭皮のツボ』『AGAに効くツボ』、そして『ストレスからの抜け毛に効くツボ』『女性の薄毛に効くツボ』まで・・。
まさに幅広く取り揃えています。親切にもツボマッサージのやり方まで・・。
まぁ結局1日でおっくうになり、お灸をツボにのせるという手抜きに走ってしまうのもまたあるあるです。
帽子と薄毛
常に帽子やニット帽をかぶっているとハゲるというウワサも昔から根強くあります。
最近では薄毛予防のために帽子をかぶるという、真逆な行為もあるそうですが、いづれにしても帽子で薄毛がどうこうなる話ではありません。
ブラッシングと薄毛
ブラッシングも昔から薄毛と関係性ウワサされている行為の一つです。薄毛予防にブラッシングが良い、という話から、抜け毛予防ブラシが発売されたりしてきました。

『ブラッシングで抜け毛の本数が20本超えていたらブラシを変えるべし!』とか『ブラッシングをしないと抜け毛が増える!』とか・・。
こちら全て科学的根拠が示されていません!

以下、参考にご覧ください。
医学の祖師と言われる古代ギリシャ人ヒポクラテスは、ハトの糞を用いて抜け毛に悩む患者の治療に当たっていたと伝えられています。
同じく古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、抜けゆく髪の対処法として自らヤギの尿を頭に塗っていたと言われています。

育毛・発毛に重要な成分

睡眠や運動不足は比較的簡単に意識して改善することができ、喫煙や過度な飲酒も我慢すればわかりやすいほどに身体が正常になっていきます。
しかし、食生活における偏った栄養の摂取だけは、なかなかその実態を掴むことはできません。

それが髪の毛に良い成分かどうかだったなんて考える機会もないのが日常だ。
だからこそ、毎日の食生活で摂取している成分に、一度着目してみるのも大切なこと。
以下、髪の毛の成長(育毛・発毛)に良いとされている成分の抜粋です。
- ノコギリヤシエキス
- オウゴンエキス
- ホップエキス
- モモ葉エキス
- ジオウエキス
これらを食生活に取り込んでみることで、AGA以外が原因の薄毛に対して改善に導ける可能性を少しばかりは秘めています。(※あくまでも科学的根拠には乏しいです。)
根本的な解決法が存在しないという現実

ここまでご覧いただいたように、AGA以外による薄毛を治すためには、ありとあらゆる生活習慣を見直す過程の中で、その原因に突き当たり薄毛を解消できる可能性があります。
一方、AGAによる薄毛の場合は、薬を飲めばある意味簡単に薄毛を解消することができます。しかしこの場合、服薬をストップすれば、また徐々に薄毛が進行していってしまうのです。
AGA治療薬は、あくまで薄毛進行をストップしてくれるもの。言いかえれば、AGAによる薄毛を、根本から治す(根治)させることはできません。
【関連記事】AGAは完治しない?男性型脱毛症診療ガイドラインを駆使しハゲを治そう!>>
薄毛の主な原因はAGA(男性型脱毛症)

ということは、AGAによる薄毛よりも、AGA以外による薄毛の方が最終的には治すことができそうなので、どうせなら自分もそっちの薄毛のがいい!と思ったあなた。
残念ながら、日本中の薄毛人口のほとんどはAGAによるものです。
ごくわずかな人たちだけが、生活習慣やストレス、精神的ダメージになどによる原因で薄毛になってしまっています。
AGAは20代から発症する

AGAになるかならないかは、遺伝による体質が多くを占めます。遺伝とは不思議なもので、大人になるに連れ母親に顔が似てきたり、そうかと思うと30歳すぎると父親の顔に似てきたり。
いつどのタイミングで両親どちらの遺伝が強くなるかは個人差がありバラバラです。AGAの体質も同じく、いつどのタイミングで、その遺伝的特長が現れるかなってみないとわかりません。
したがって、早い人では20歳頃からAGAの兆候が現れることもしばしばです。
AGAは薬で治療ができるが副作用も

AGAは薬で薄毛を改善可能です。
一般的にはAGA専門クリニックなどで処方される『フィナステリド』『デュタステリド』『ミノキシジル』などの薬を継続服用することで、ほとんどのAGA患者は発毛に成功しています。
しかしながら、AGA治療薬もれっきとした薬なので、副作用の報告があがっているのも事実。ただし、その副作用の発現率の低さから、AGA治療薬が一般的に浸透したという側面もあります。
気になる場合は、一度、副作用について見ておくことをすすめします。
【関連記事】プロペシアとは?AGAを治す絶大な効果や恐ろしい副作用まで徹底解説!>>
AGA治療が人気の理由

日本国内のほとんどの薄毛人口がAGAである社会において、AGA治療に人気がでないわけがありません。一般的な考えであれば、誰しも薄毛でいることは避けたいものですので。
自力ではどうしようもなく、他にも手段がないのであれば話は別ですが、現代医療ではAGA治療薬という神のような救世主が、いつでも手の届く範囲に存在しています。
下世話な話ですが、費用さえかければ念願だった薄毛状態からの脱却が必ず出来るのです。
それも安い費用で・・
こんなに費用対効果の期待できる出費はなかなか思い当たらないというのが正直なところであり、AGA治療の人気が出た理由は、男性心理から考えればごく自然なことだったと言えるでしょう。

でもAGA治療は薄毛男性のほとんどに髪の毛を蘇らせてくれる髪のような存在なんだ!

あなたにもし薄毛の親族が見当たらないのであればAGAである可能性は低いでしょう。(AGA体質は遺伝するため)
ですが、思い返した際に1人でも薄毛の親族がいれば、あなたもAGA体質である可能性を十分に秘めています。